【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈6〉ロシア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー

1冊でヨーロッパの国の特徴がわかる本「ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質」のお話です。

今回はロシア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー。

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈5〉デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの続きになります

こんな人におすすめ
  • ヨーロッパに興味がある
  • 各国の特徴を知りたい
  • ヨーロッパの人と仕事で関わっている
  • 旅行したい

1つでも当てはまっていればOKです!


ロシア

人口の大半は西のヨーロッパ圏に住む

まずロシアがヨーロッパかどうか?という懸念点。面積ではロシアの77%がアジアに位置しているが、人口の大半はヨーロッパ地域に住んでいる”そうです。実際に首都モスクワは広大な国土の中でびっくりするほど西にあります。もうちょっと真ん中でもええんちゃうのと思うくらい。というわけでロシア人はだいたいヨーロッパの人と言えます。

昔ふうのその日暮らし感覚

p298
「広大な土地で暮らし、心が広く、なにごとにも寛大で、陽気で誠実な平和主義者である」というのが、ロシア人の自己評価だ。ただし、他人に対する寛大ならいいのだが、自分にも寛大なロシアの人々は、いいかげんで、働くのが嫌いな怠け者。将来のことはもちろん明日のことさえ考えられない、その日暮らしの性格と言い換えられないこともない。

ロシア=強国というイメージがとても強いのですが、民間の人々は陽気で、のんきで、古風な暮らしをしているようです。

女は自立し、男は酒(ウォッカ)が頼り。※プーチンを除く

p300
ロシアでは、男は男らしく、女は女らしくという古き時代の価値観が生きている。とはいえ、プーチン大統領のような男らしい男というのはあまり見かけない。ロシア人男性はロマンチストといえば聞こえはよいのだが、いくつになっても実現できそうもない夢を追い、夢を語り、夢に挫折して、酒に走るタイプが珍しくない。
一方、ロシアの女性は、一般に気丈で、機転が利き、セクシーで女性フェロモンを体全体からぷんぷん発散しているような人が多い。かつての共産主義下では、雇用に関しては男女平等であったため、家でじっと夫を待つような良妻タイプは存在せず、仕事から戻るとテキパキと家事をこなし、しっかり子どもの面倒をみるといった生活力のある強い女性が目につく。

p306
とかく日本では「冷酷な紳士」、「有能な元工作員」というイメージが強いプーチン大統領だが、意外にも趣味は釣りと競馬。ロシア人でありながらタバコも酒もほとんど嗜(たしな)まないのは、11歳の時から柔道を始めたためだ。尊敬する人物に姿三四郎、喜納治五郎、山下泰裕を挙げる。

p314
2012年12月17日のロシア通信(RIA)は、凍傷寸前の二匹の象がお湯割りのウォッカを飲んで命拾いしたニュースを世界に向けて配信した。
古くからロシアでは、ウォッカは万病に効くと信じられている。(サーカスの象だったので)調教師がとっさに機転を利かせて、近くの村からウォッカ2ケースを手に入れ、二匹の象にお湯で割って飲ませたところ、みるみる元気を取り戻したのだった。こんなニュースを最高の幸福として報じるロシア通信に、ウォッカこそ幸福の源というロシア人気質がよく表れている。

プーチン大統領のようなするどい男はなかなかいないようです。ロシアへの見方がだいぶ変わりますね。

ポーランド

大国に挟まれた”野原(ポーレ)”の国

ポーランドはドイツと旧ソ連に挟まれた国。面積はドイツより小さく、イタリアやイギリスよりは大きな、そこそこ広い国です。

p324
ポーランドの国名は、野原を意味する「ポーレ(pole)」が語源といわれる。その名のとおり国内には肥沃な大平原が広がり。天然ガスや石炭、世界最大の琥珀の産地でもある。そんな豊かな土地をめぐって周辺の大国が押し寄せては、何度も国境線が書き換えられてきた。
支配されたり、消滅したり、背後から操られたりといった歴史の苦い経験から、ポーランド人は人見知りで、他人を信じられず、どこか悲観的で愚痴っぽいところがある。反面、忍耐の歴史が、不幸な境遇にあってもへこたれない根性と適応能力を育んだ。

忍耐強さでキリスト教のお墨付き

p326
966年、ポーランド人の祖先のレフ族(ポラン族)の5代目族長のミェシュコがカトリックに改宗したことで、ポーランド公国として認知されるようになった。その後1025年には、ローマ教皇ヨハネス19世が、ポーランド王国として公に認めたことでもわかるように、歴史上、ポーランド建国の陰にはいつもキリスト教のお墨付きがあった。

優しい性分で周辺国の圧力に常に苦労してきたようです。それでもどこかに併合されず国家を保っているのはとても興味深いです。

チェコ

首都プラハは文化の都

チェコスロバキアを1993年に解体してできた国チェコ。首都プラハは文化的な都です。

p333
本来大らかで大家族主義的なスラブの血をひくチェコ人は、すっかりゲルマン化されて、神経質で個人主義的な傾向が身についた。しかも、長い間忍耐を強いられたことで、ちょっとネクラで本音が言えない、我慢強い性格になってしまったようだ。そんな歴史が、気骨ある優れた芸術家をたくさん輩出した。むしろ芸術こそが(略)、チェコ人がチェコ人であり続ける精神の拠りどころであり、精神闘争の手段であった。

わりに細かい性格

p341
私の知人は、かれこれ30年以上もプラハで暮らし、感覚はすっかり”チェコ人ナイズ”されてしまっている。ある日、彼の書棚におもしろそうな本を見つけた私は、「借りてもいい?」と聞いてみた。すると、ふだんは無口で控えめな彼が、「あの~、いつ、どこで返してくれますか」と不審な点をずばりと聞いてくる。これはほんの一例で、融通が利かず額面とおりに言葉を受けとるチェコ人には、行き当たりばったりのいいかげんな会話は通用しない。

芸術を愛すが、割と細かいところがあるのがチェコ人の特徴のようです。

スロバキア

必ず”元カノ”のチェコが先に来る

同じくチェコスロバキアを1993年に解体してできたスロバキア。目立たない土地と名前の為にこちらの方がチェコスロバキアの影が抜けないようです。

p342
旧ユーゴスラビアの「スロベニア」とよく混同される。あるいは、いまだに「ああ、あのチェコスロバキアの」と、必ず元カノ(彼女)の「チェコ」といっしょの国名で呼ばれることが多い。1993年、円満に”ビロード離婚”したにもかかわらず。

細かいことは気にしない

p343
いつも日の当たらない場所にいたせいか、ウィーン(オーストリア)に抵抗してきたプラハ(チェコ)やブダペスト(ハンガリー)とちがって、支配される側の反骨精神や恨みつらみはあまりなく、独自の民族文化や慣習を大事にしながら、地味に地道に自分らしく生きてきた。
チェコ人がゲルマン化したスラブ人ならば、スロバキア人はハンガリーの影響を受けたロシア的気質をもつスラブ人だ。大らかで土臭く、明るく健全な気質をもっている。

なるほどチェコとはいいコンビだったんじゃないかなあと思いますね。

p344
夫婦の子どもを持たないという決断について反対すると答えた人は、スロバキアで53%だったが、デンマークでは6%、英国では8%だった。
今でこそ「中欧」という言葉が定着しているが、「東欧」とひとくくりにされた旧共産主義時代は自由競争がなく、旧態然としたほのぼのとした社会があった。古い大家族制度をベースに、隣近所で助け合いながら、四季折々の自然の中で暦通りの伝統的な暮らしが守られていた。

p347
スロバキアには、世界的には知名度が低いが、歴史的に意義ある名城が多い。
ハプスブルグ家の下、ハンガリー支配を受けていた時代、貴族はスロバキア領内に好んで城を建てた。スロバキアの高地は砦や見張り台に適しており、夏の避暑地にはうってつけで、狩りをするにも便利だった。

気候がよく、自然の中でマイペースに暮らしている人が多いようです。

ハンガリー

個人プレーが大得意

ハンガリーはやや神経質なイメージで、個人プレーが大得意です。

p352
これまでハンガリーでは13人ものノーベル賞受賞者を輩出している。
ビタミンCの発見/ボールペン/安全マッチ/ソーダ水の大量生産/電話交換台/ルービックキューブ などハンガリー人の発明は数多い。
競泳、フェンシング、体操、陸上など、特に個人競技に強いのも個人主義の天才を育むハンガリーらしい。その半面、閉鎖的、情緒不安定、悲観主義といった天才にありがちな厭世的な気質をあわせもつ。

敵に回すと怖いタイプ

p354
マジャール人と呼ばれるハンガリー人は、国の四方をゲルマン人やスラブ人などに囲まれている。(略)苦い歴史を、執念深い(記憶力のいい)ハンガリー人は、かたときも忘れていない。
しかもお金の計算に強く、被害者意識の強いハンガリー人は、外国人からお金を巻き上げることにあまり良心の痛みを感じない。
だが、(略)ハンガリー人はけっして同胞や友人を裏切らない。

p357
【2010年8月4日、ロイター】
(略)仕事に着ていく服が最もカジュアルな国はハンガリーであることが分かった。(略)短パン姿でも許されると答えた人の比率は、ハンガリーが46パーセントと1位。同国では、サンダルで職場に来ても問題ないという人も56パーセントいた。

意外にも、したたかでラフな考え方をしている面もあるようです。でもまあ、個人プレー重視と考えれば不思議ではありません。


この本でロシア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーについて知ってよかったこと

  • ロシアの土地はアジアに属する部分が多いが、実際には人口の大半が西のヨーロッパ圏に住む。ロシア人はお酒が好きで陽気で古風な暮らしをしている。
  • ポーランドはドイツと旧ソ連に挟まれた国で、人々は人見知りで悲観的なところがあるが、忍耐力が強く生き延びる力を持っている。
  • チェコの首都プラハは文化的な都で、神経質で個人主義的な傾向を持っているが、芸術家をたくさん輩出している。
  • スロバキアは以前同じ国だったチェコと比べると地味で影が薄いが、マイペースで大らかに自然の中で暮らす人が多い。
  • ハンガリーは個人プレーが得意で、ノーベル賞受賞者が数多くいたり、競泳、フェンシング、体操、陸上などのスポーツで優れた成果を出している。

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質<7>セルビア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロへ続きます

     

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