【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈5〉デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド

1冊でヨーロッパの国の特徴がわかる本「ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質」のお話です。

今回は北欧と呼ばれるデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド。

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈4〉ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルの続きになります

こんな人におすすめ
  • ヨーロッパに興味がある
  • 各国の特徴を知りたい
  • ヨーロッパの人と仕事で関わっている
  • 旅行したい

1つでも当てはまっていればOKです!


デンマーク

北欧の中で最も明るく大らか

デンマークはドイツの北部に接している半島の国です。

p231
デンマーク人は北欧の中では最も明るく大らかで、楽しい雰囲気がある。生来、ちょっと軽率なところがあるうえ、酒に酔うと饒舌になるので、うぬぼれないように普段から自戒しているようにも見える。ヨーロッパで最も民主主義が根付いたこの国の人々は、平等意識や正義感が強く、すべての問題はオープンな対話で解決できると信じている。

保育園から大学までタダ!大学生にはお小遣い月9万円も?!

奨学金に苦しめられる日本などとはえらい違いです。その代わり働き始めたら世界一の所得税を徴収される。

p235
子どもには毎年20万円ほどの児童手当が国から支給される。さらに保育園から大学まで学費はタダ。それだけではなく、大学生には毎月お小遣いとして約9万円が援助されるという、天国に最も近い国だ。というのは、そこには子どもは親の所有物ではなく、未来を託す「国家の財産」といった発想があるからだ。

p241
現地紙『コペンハーゲン・ポスト』は、2010年(略)のニュースで、世論調査の結果、納税者の10人に7人が「現在の税率を適正だと感じている」と報じ、世界一高い所得税を国民が強く支持しているとした。
「税金が私の貯金通帳」と言ってはばからないデンマーク人は、ほとんど貯金をしない国民性だ。国が何から何まで保障してくれるので、将来に対する備えが要らない。所得の6割と引き換えに、人生の大半の経済的な悩みが解消されるとしたら、世界一の所得税もけっして高いとは思わないというのも、大いにうなずけるところだ。

自転車に乗るのは、自動車税が高すぎるからだけじゃなく、環境と庶民感覚をわすれないため!

p243
なぜデンマーク人はそんなに自転車が好きなのかというと、まず自動車税が高いので、自動車を購入できないのも確かにその理由ではある。だが、開けっぴろげで気どらない庶民感覚をだいじにする人々は、高級車に乗って富をひけらかすような人間は、蔑まれることはあっても決して好意はもたれない。たとえお金や地位があっても自転車を愛用する人こそ、ひとかどの人間と尊敬されることになる。山のないまっ平な国土に生きる人々は、みんな平等の、上下関係がきらいな脱権威主義者で、自転車にまたがる仲間意識を大切にする。
p245
資源のない国で育ったデンマーク人には見栄や体裁は余計なもので、子どもの頃からなにが最も大切かを自分の頭で考える訓練がなされている。知恵をしぼって、まじめに努力した結果、デンマークは世界一の環境大国になったのだ。

デンマークはヨーロッパの中でもマイペースな幸福を求めた。その結果、ヨーロッパNo.1といえる先進的な感覚をもった国でしょう。

ノルウェー

かつて北の海を荒らしまくったヴァイキングの末裔

ノルウェーはイギリスとの間の北海の海岸線にそった、ワイルドな国です。

p247
かつて北の海を荒らしまくったヴァイキングの末裔は、日本と同じクジラを食する捕鯨国。長い間、零細な漁業国だったノルウェーは、北海油田の発見で「貧乏父さん」から「金持ち父さん」に変身したが、おごらず騒がず。今もジャージ姿でコンサートに出かけるふだん着の素朴で飾らない人々だ。

p248
冒険とも南極ともまったく関係のない私が、人類で初めて南極圏に立ったロアルト・アムンゼンの銅像に思いがけなくも出会ったのは、北極圏のバレンツ海に浮かぶスピッツベルゲン島を訪れたときのことだ。
余談だが、ロックバンド「スピッツ」のファンクラブの名前は、この島の名前を取って「スピッツベルゲン」と命名されている。

ノルウェーは南極点到達が世界初

北極圏に近いノルウェーは、環境の似ている南極点到達を世界初で成し遂げました。1911(明治44)年のことです。

p249
今から100年ほど前、アムンゼンと熾烈な南極点レースを繰り広げたライバルの英国探検家のスコット隊は、約1カ月遅れて目的地に到達したものの、生きて還ることはなかった。二つの隊の明暗は、どこで分かれたのか。そのいでたちには、はっきりとしたちがいが見てとれる。
英国紳士のスコット隊は、バーバリー社特製の牛革の防寒服を身につけ、特別に開発された雪上車と馬を動力とした(どれも機能せず)。そのうえスコットは大英帝国の軍人として、国家プロジェクト遂行の任務を帯びて期待を一身に背負っていたため、不測の事態にも後戻りできず、最後は人力で橇(そり)をひいて突き進んだのだった。
他方、アムンゼン隊は、北極の先住民と同じ古風なアザラシの毛皮の防寒服に、伝統の犬橇を使った。しかも、長い間スウェーデン支配下にあったノルウェーのアムンゼンには、はじめから国家のしがらみなどさらさらなかった。
p250
英国人は冒険を好み、それに挑む。だが、冒険そのものが、自己の限界を超える挑戦であるため、大きなプレッシャーを感じ、ときに悲壮感さえ漂う。しかし、生活自体が自然との格闘で、常に自然体のノルウェー人は、「冒険」に特別な気負いがない。南極点踏破の成功のカギは、ノルウェーの厳しい自然環境で培われた忍耐力・精神力・判断力・勘(インスピレーション)に裏打ちされた天性の自然児的な気質にあったといえるかもしれない。

北の冒険家たちは、外交も上手?

自然児・ヴァイキング気質は、無敵の様相です。

p252
スカンジナビア半島の西端を陣取るノルウェーの有名なフィヨルドは、スウェーデンとフィンランドの北部海岸線もすっぽりと包み込んで、ロシアと国境を接する。北海、ノルウェー海、スカゲラック海、バレンツ海と、多くの海をもつノルウェーは海洋を隔てて隣国と領有権を争ってきた。その中でも長年頭を痛めてきたのが、ロシアとの間に横たわるバレンツ海と北極海の”グレーゾーン”だ。
それが2010年4月にロシアのメドベージェフ大統領が訪問した際、急転直下、互いの主張の重なる部分をハンブンコするという画期的な妥協案で合意。9月に正式に条約が調印され、解決をみた。
両国の合意は、長い時間をかけて対話を重ねたものでなく、一夜にしてロシア側からなされた、いわば降って湧いた妥協案だった。ロシアの大統領一行の訪問を、ノルウェー王国が国を挙げて盛大に歓迎したことが功を奏したという見方もある。
ロシアという国は、一見、頑固でわからず屋でテコでも動かないところがある反面、スラブ的な親分肌気質というか、自分に懐を開いてくる者は無下にしない懐の深さがある。
それにしても、このノルウェーとロシアの二国間の外交交渉は、日本にとって参考になるかもしれない。
p253
つい十数年前まで零細な漁業中心の貧しい国だったノルウェーは、1960年代に油田が開発されたことで、状況は一変。現在、世界第2位の天然ガス、世界第7位の石油輸出国となった。しかし、にわか成金となっても驕ることなく、地道な生き方を貫くノルウェー人は、限りある資源をもとに堅実な経済の舵取りをしている。政府は、将来の国民の年金などにあてるため、石油・天然ガス事業化からの収入を「政府年金基金ーグローバル」に積み立て、外国に投資しているのだ。
それゆえ、ノルウェーには財政赤字などというものは存在せず、政府年金基金の残高は国家予算の34倍にも達している。日本は、国の借金が1000兆円を超え(2013年6月末)、自分のあずかり知らないところで一人当たり792万円も借金をしている。将来の年金の行方もままならない日本人から見たら、まったく羨ましい限りだ。

p257
一般にノルウェー人は、犯罪者が罪を犯すように追い込まれた社会的な背景や家庭環境を理解することで、誰が罪を犯してもおかしくない、犯罪者と自分は同じ人間に過ぎない。だから生活環境を整えれば、必ず立ち直るとの思いを抱いているという。

スウェーデン

知的で高貴な風貌

しっかりしていて爽やかな国というイメージのスウェーデン。

p260
女性も男性も、背が高く、金髪・碧眼で、知的で高貴な感じがするスウェーデン人。一般に、スウェーデン人は人づき合いが苦手だといわれる。自分のほうから社交的にふるまえないのは、自意識が強く、ストレートに感情を表現できないからだ。なかなか他人に本心を明かさない警戒心の強さもさることながら、場を読んで行動したり、時間に正確で計画性があるなど、ちょっと日本人と似たところがある。
ただし、スウェーデン人に理解を求める場合、日本人同士の阿吽の呼吸や、気持ちを汲んでほしいといった甘えは、いっさい通用しない。理路整然とした言葉で一つひとつコンセンサスを得ないと、どこでどう解釈されているかは保証の限りではない。

男女平等へのこだわり世界一

p262
とにかくスウェーデン人の男女平等へのこだわりといったら、世界一であることはまちがいない。

p270
米国が世界の保安官を自任するように、スウェーデンには人権最先端の国というプライドがあり、人権を守るために戦うことを国是としている。しかし、そのような理想を掲げながら、同時に圧力をかけられるとすぐに引いてしまう内面の弱さがある。それはスウェーデン人の隠された従順さという気質であり、相手の圧力に屈することで摩擦を回避し、保身に走る防衛上の戦略ともいえる。

フィンランド

控えめな国は世界一の携帯電話会社ノキアを生んだ

可愛い雑貨、コーヒー、自然豊かなフィンランド。実は日本から直行で一番近いヨーロッパ。

p278
国土は日本よりやや小さめで、しかも4分の1が北極圏に属するフィンランドは、北欧では最も目立たない存在だが、意外にも「世界一」のタイトルが目白押しだ。

p282
素朴で正直なフィンランド人は、恥ずかしがり屋で物静かで口数少なく、本心を伝えるのが非常にヘタな人々だ。ヨーロッパ人なら誰もが上手に愛の言葉をささやけると思うのはまちがいで、フィンランド人は日本人と同じように、自分の思いをストレートに表現できない(略)。
そういう内向的な人々は、面と向かって自分の気持ちを伝えることが大の苦手だ。しかし、電話ならば相手の顔を見なくてすむので、コミュニケーションが円滑に図れるということで、フィンランドで携帯電話(かつて世界一の携帯電話会社だったノキア)が普及したといわれる。

フィンランドについてはこちらの記事にも掲載しています!

【本>海外】フィンランドを知るためのAtoZ 世界一幸福な国ランキング三連覇のヒント!

アイスランド

プレートの境目で地球の鼓動を日々体感

美しい自然や温泉に恵まれるも、地震の多さに悩まされているアイスランドは日本と近いかもしれません。

p295
火山と氷河に覆われた土地の人々は、”母なる地球”の鼓動や体温を日々体感して生きている。しかも、北米プレートとユーラシアプレートの境目”地球のヘソ”にいるとの自負がある。実際、地上60メートルの高さまで熱水を噴き上げる間欠泉「グレート・ゲイシール」、全長2.5km、高さ35mの「グトルフォスの滝」(別名、黄金の滝)、神秘的な蒼い洞窟をもつ「ヴァトナヨークトル氷河」、競泳用プール4個分もある世界最大の露天風呂の温泉「ブルーラグーン」など、ヨーロッパ随一といわれる名所が数多く、見どころは尽きない。

オーロラ産業

p296
神秘的な天空のカーテン見たさに三夜連続でツアーに参加したものの、毎回同じ説明を聞かされて寒さに震えただけだった。三晩目ともなると、流暢に英独仏語を操り、にこやかに語りかけるガイドさんの姿が、純真な外国人観光客を寒空に連れ回し、お金をぼったくる異星人に見えてくる。
それでもオーロラが見られなかった場合、その次のツアーが半額割引されるという配慮は、アイスランド式おもてなし心の表れだろうか。

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質<6>ロシア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーへ続きます

 



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