【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈4〉ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル
1冊でヨーロッパの国の特徴がわかる本「ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質」のお話です。
今回はギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル。
【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈3〉ドイツ、オーストリア、スイスの続きになります
- ヨーロッパに興味がある
- 各国の特徴を知りたい
- ヨーロッパの人と仕事で関わっている
- 旅行したい
1つでも当てはまっていればOKです!
本記事の内容
ギリシャ
楽天家!借金があってヨーロッパいちメタボでも長寿の人たち
p167
ギリシャ人はヨーロッパ一(いち)、大らかな楽天家だ。たとえ国が破産しようとそれはそれ。国民の八割が「私の人生は幸せだ」と答えている。スローフードをたらふく食べたあとは、甘いお菓子とコーヒーで仕上げ、お腹の皮がつっぱってまぶたが緩むとシエスタ(昼寝)をとってナイトライフに備える。そのため、ギリシャ人は借金はあっても恰幅がよく、ヨーロッパ一肥満率が高い。メタボでも長寿の人たちは、くよくよせずに毎日を愉快に楽しむ人生の達人だ。p174
ギリシャ人は5人に1人が公務員という巨大な官僚組織をもち、非生産的な公務員が諸々の手当や恩恵にあずかっていたことも、財政危機を招いた大きな原因だ。
観光資源だのみ
パルテノン神殿や、エーゲ海に面する白壁に青い屋根の街並みなど、観光資源にこと欠かないギリシャ。
観光客がバンバンやってくるので、あくせく働かなくても大丈夫とのんびりしてたせいでもあるとか。
p176
EU経済を索引するドイツは、財政危機でにっちもさっちもいかなくなったギリシャに575億ユーロ(2012年現在のレートで約7.7兆円)も拠出している。世論調査によると、「これ以上ギリシャとかかわるのはもう御免だ。ギリシャはさっさとユーロ圏を去るべきだ」というドイツ国民は60パーセントにも上る。ドイツ人にとって何が不満かといえば、ギリシャ人はお金をもらいながら感謝がなく、文句ばかり言って、それでいて自分たちよりもずっと人生を謳歌していることだ。
ドイツとフランスはよく比較されますが、真に正反対なのはドイツとギリシャなのかもしれません・・・
イタリア
美食の国、マンマの国、イタリア!
p180
大家族主義で、母親に甘やかされきって育った息子は、ほとんどマザコンと思ってまちがいない。日本語の「なんてこった」は、イタリア語で「マンマミーア!」。イタリア男にとって、母こそ神であり、聖母なのだ。一方、母の娘への愛情は薄いため、娘はしっかり者に育つ。
ルネサンスが興(おこ)った国の人々は、ヨーロッパ一(いち)の美的感覚を持つ。美しさは、一流ファッションブランドや、フェラーリやマセラティというスーパーカーを生み出した。そして、もう一つが美食。イタリア料理の人気はもはやフランス料理をしのぐといわれる。
マフィア、戦争など、きな臭いことにも愛と美食?
p188
マフィアの団体が「ファミリー」と呼ばれるのは、家族の絆を大切にする大家族主義的なイタリアらしい。社交的で気さくなイタリア人は誰とでも気軽に仲良くなってしまうため、秘密厳守は非常に難しい。そのため、居酒屋や社交クラブへの出入りを禁じているのはもっともなことだ。
特筆すべきは、十か条の中に「妻」に関する掟が二つもあることだ。仲間の奥さんにちょっかいを出したり、自分の奥さんをないがしろにしてはいけないというのは、マフィアといえども女性が家庭を取りしきっているイタリアならではの家庭円満の秘訣なのだろう。p201
戦争ジョークを二つ。時は、第二次世界大戦のアフリカの砂漠。イタリア軍部隊からの救援要請に答えて、ドイツ軍中隊が戦力を割いて救助に向かった。すると、当のイタリア軍は砂漠で、貴重な水を使ってパスタを茹でていたのだった・・・。
お次のジョークは、後方からの必要物資の問い合わせに対し、ドイツ軍は「機関銃、迫撃砲、燃料、それと輸送機の隙間いっぱいに弾薬を詰めて送ってくれ」と返答。他方、イタリア軍は「パスタ、チーズ、トマト、バジル、ハム、ワイン・・・。もし輸送機に隙間があるようなら弾薬を詰めて送ってくれ」と返答してきた。
この本によく出てくる”ジョーク”をひたすら集めれば、各国の特色が一発でわかるのではないかという気がしてきました。
スペイン
偉大な芸術家たちを生んだ、おもしろがる人たちの国
p203
カトリックが94パーセントを占めるこの国の人々は、意外にまじめなところがある。ただし、そのまじめさの質が日本人とは本質的に異なるのだ。約束した時間に平気で遅刻したり、すっぽかすこともよくある。だが、それには彼らなりの理由がある。約束の直前にたまたま友人を見かけたら、素知らぬ顔で通り過ぎることなどできないばかりか、相手がしゃべり続けている限りは話をさえぎったり、自分が急いでいることを告げてその場から立ち去ることこそ無礼だと考えているのだ。p207
スペインは世界的な画家ベラスケス、ゴヤ、ダリ、ミロ、ピカソなどの巨匠を輩出した国で、アートに対する目は肥えている。しかし、スペイン人はアートよりおもしろいことに目がないようだ。というのは、その後、この絵(修復に大失敗したキリストの肖像)をひと目見たいとスペイン中から大勢の人が訪れ、教会は長蛇の列となり、周辺のうらぶれた商店やカフェまで潤っているという。p212
楽しくなければ人間じゃない、おもしろくなければ人生じゃない。危険もいとわず、羽目をはずしてバカ騒ぎすることで、憂鬱な世相を跳ね返すのがスペイン流の経済刺激策だと、人生の達人は考えているようだ。
ポルトガル
愛で世界を制す・・・?
日本が初めて関わった西欧の国。愛で世界を制す・・・?
p218
かつてポルトガルは、アンゴラ、ギニア、モザンビーク、バーレーン、東ティモール、マカオ、ブラジルなどたくさんの植民地をもっていたが、今では面積が日本の4分の1ほどの小国に甘んじている。だが、ポルトガル人の偉いところは、過去の華々しい栄光に驕(おご)ることなく、また現状と比べて卑屈になることもなく、変化する時代の中で自分らしく背伸びせずに生きていることだ。ポルトガル人気質は、温和で、親切で、地味で、口下手。ずんぐりした体格で人間味あふれ、日本の俳優でいうと西田敏行タイプといった感じだ。
南米で一番大きい国ブラジルは、ポルトガルの元植民地
南米で一番大きい国ブラジルは、ポルトガルの元植民地で今でもポルトガル語が話されています。スペイン系が多い中、健闘していますね。
p221
ポルトガルの植民地だったブラジルは人種差別が最もない国だといわれる。その理由は、当時ブラジルを支配していたポルトガル人が、原住民のインディオや黒人奴隷の女性と積極的に交わって多くの混血を生み出したからだという。かたや、その他の南米諸国を統治したスペイン人には、そういった傾向はあまり見られなかった。
そのため、ポルトガルには「イギリスやスペインは武力で世界を征服したが、俺たちポルトガル人は愛の力でブラジルを勝ち取った」といったジョークがあるくらいだ。p225
ポルトガルがヨーロッパの最貧国だった1960年代から70年代にかけては、豊かなフランス、スイス、ベルギー、ルクセンブルクなどに職を求めて移住したが、今では言語的、文化的に関係性の強い旧植民地のブラジルやアフリカ有数の産油国として発展するアンゴラに移り住む人が多く、かつて植民地から宗主国ポルトガルを目指したのとは反対の「移民の逆現象」が起こっている。
中国に来ていたポルトガル人が、ひょんなことから日本の種子島(鹿児島県)に漂着しました。
p228
(1543年、種子島の)領主から大仕事を仰せつかった金兵衛は、オリジナルの鉄砲を真似て作ってみたものの、銃身の底が上手く固定できず、発砲する際の衝撃に耐えきれない。さすがの名人の金兵衛も困り果て、ついにポルトガル人から製法を直接聞き出そうとしたところ、足元を見たフランシスコは「あなたの娘の若狭を嫁にくれるなら、その秘密を教えましょう」と言ってきた。
その秘密とは、単に銃身の底をとめるネジにすぎないのだが、当時の日本にネジの技術などない。自分のかわいい、まだ17歳の娘を南蛮人に渡してなるものか。かといって領主の命令は絶対である。
そんな話をどこからか聞きつけた若狭は、父親のためにポルトガル人の妻になることを決意する。こうして若狭は、史上初の国際結婚をした日本人女性となった。
日本にとっては大緊張の「史上初の国際結婚」ですが、ポルトガル人が南米などで混血を作って馴染んでいったことを思えば、避けられないことだったのでしょうね。
種子島は宇宙センターなどもあり現在も先進的な地域ですね。
この本でギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルについて知ってよかったこと
- ギリシャは観光資源に恵まれ楽天的な性質。たとえ経済破綻してもくよくよせずマイペース。”国民の幸福度”は考え方の問題か、と思い知らされる。
- イタリアは美食の国として知られ、大家族主義や母子の絆が強調されている。マフィアの存在など、陰の面と美食との対比が興味深い。
- スペインは偉大な芸術家たちを生んだ国であり、カトリックが根強い信仰として存在している一方、時間にルーズな面や社交的な性格も魅力的。
- ポルトガルは、過去の植民地主義や国際結婚の歴史など、多様な側面を持つ国。温和で地味な性格や、”愛によって世界を制してきた”歴史が興味深い。
【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質<5>デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドへ続きます