【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈3〉ドイツ、オーストリア、スイスの特徴

1冊でヨーロッパの国の特徴がわかる本「ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質」のお話です。

今回はドイツ、オーストリア、スイス。

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質〈2〉オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの続きになります

こんな人におすすめ
  • ヨーロッパに興味がある
  • 各国の特徴を知りたい
  • ヨーロッパの人と仕事で関わっている
  • 旅行したい

1つでも当てはまっていればOKです!


ドイツ

真剣に、何かを成し遂げてから、喜びを味わう

ヨーロッパで一番まじめで効率を重視するドイツ。

p114
節度あるドイツ人は、外国人を標的にして笑いものにすることはないが、イギリス人のように自分をネタに笑いを取るほどの度量やセンスはない。
ジョークにも、つい真剣さがにじみ出てしまう。しかも、ジョークを話すにもTPOをわきまえねばならない。ユーモアにも一定のルールが必要なのだ。

p123
81%の人が「最高の喜びを味わうためには、その前に何かを成し遂げることが必要だ」と答えているのは、いかにもドイツ人らしい。

ストレスをためすぎて意外な一面をみせてしまうことも。

p125
常日頃、物事を哲学的に堅苦しく考えがちなドイツ人は、日本人同様、ストレスがたまりやすい。ビールを飲んだり、歌ったりしてストレスを発散するのは似たところがあるが、日本人がとても真似できないのが、ときとして場所もわきまえずにスッポンポンになってしまうという大らかさ(?)だ。

ベルリンの壁崩壊後、東ドイツは不満?

p136
2008年に行われた調査によると、旧東ドイツの住民の52%が自由市場経済は「不適当」だとしたほか、43%が社会主義に戻りたいと答えている。

1989年にベルリンの壁が崩壊するまで、ドイツは東西に分かれ、東ドイツはソ連の占領地跡にできた社会主義国家でした(1949-1990)。欧米の自由で豊かな雰囲気の西ドイツにあこがれて越境・移住する国民が大量に出てきたので、東ドイツ政府によって壁が建設されたのでした(1961)。不自由な立場を強いられてきた東ドイツと思いきや、案外社会主義に慣れ親しんだ住民も少なくなかったようです。

ちなみにベルリンの壁は、東ドイツ内にある首都ベルリンの中に西ベルリンの飛び地があり、それを囲んでいたもの。

東ドイツ住民は西ドイツへの越境が禁止されており、国境は鉄のカーテンと呼ばれる厳しい包囲網があったので、飛び地の西ベルリンに入り越境する人が多かった。

越境を防止するため東ドイツは一夜にしてベルリンの壁を築き行き来を禁止。その前日までは行き来できていたので、急に家族と離れ離れになったり職を失った人がいたそうです。

朝鮮半島に置き換えると東ドイツは北朝鮮、西ドイツは韓国のイメージです。

参照|ベルリンの壁が西ドイツを囲っていたなら、どうして西ドイツは経済的に東ドイツより発展したのでしょう?

p137
ドイツ人が幸福を感じるのは、時計の針が正確に時を刻むように、自分の周囲の人間、組織、システムが役割どおり、規則どおりに整然と動いているのを実感するときだ。ドイツ人はこんな状態を「アレス・イン・オルドゥグヌング(すべてが正常な状態にある)」と、うれしそうに評する。人生には予期せぬことはつきものだが、ドイツ人は予期せぬことに遭うと気の毒なほどうろたえる。完璧主義のドイツ人は、いつ想定外のことが起こるかと内心びくびくしているのだ。これをフランス人は、ジャーマン・アングスト(ドイツ人の不安)と笑う。

ドイツとフランスは違いが際立っているようですね。

オーストリア

広大なハプスブルク帝国

ヨーロッパの東端から西のイベリア半島で広大な領土を持っていたハプスブルク帝国。その都ウィーンを首都とするのがオーストリアです。

p138
国民性は、第一次世界大戦終結までいっしょに暮らしてきた周辺諸国の民族性がミックスされる。すなわちドイツ人の厳格さ、イタリア人の陽気さ、スイス人の堅実さ、チェコ人の素朴さ、ハンガリー人の忍耐強さ、旧ユーゴ人のたくましさが融合している。

p140
「ウィーンでは、子どもより犬をかわいがる」というのは、あながちウソではない。犬は猫などと並列にされるペットではなく家族の一員と言っても過言ではない。
街のあちこちには「犬ゾーン(Hundezone)」という柵で仕切られている一角があり、犬はそこで思う存分走ったり、用を足したりできる。そのゾーンや街のいたるところには、犬のフン専用ビニール袋が設置されている。しかも、その犬のフン用袋は植物性ビニールで、そのまま分類ゴミ箱に入れてもやがて土に還る。さすがウィーンは犬と環境に配慮したエコ・フレンドリーな街だ。

スイス

質素な生活が強靭な肉体と精神力を養った

小さくて強い国スイス。

p153
正直で勤勉、閉鎖的で口が堅い。物静かで冷静沈着。心配性でいつも将来の準備と用心を怠らない。しかも、その昔、傭兵として他国に出稼ぎしていた苦労人のスイス人は、お金のありがたさが骨身にしみてわかっている。そんなスイス人気質は、まさに銀行家に打ってつけなのだ。

p157
わざわざ日本からハイジの家を見にやってくる観光客は尽きない。そんな日本人の中には「山羊のミルクはどこで飲めますか」と屈託なく訪ねる人も少なくないというが、これに対して現地のスイス人はどこか複雑な思いを隠し切れないといったふうだ。というのは、スイス人にとって山羊はかつての貧しさの象徴でしかないからだ。
ハイジの生活は特に貧しかったとはいえ、もともと農業国のスイスは山の急な斜面を耕す非効率的な農業が主な産業で、どこも似たり寄ったりの生活だった。そんなスイス人は、15世紀から19世紀の終わりまで近隣諸国に傭兵として出稼ぎに出ることで生活を支えていた。

何世紀にもわたる質素な生活は、勤勉で頑張り屋、忍耐強く負けず嫌いな、さすがのドイツ人も敬服するほどの質実剛健な気質を生み出したのだった。
しかし、現在、ロレックス、オメガ、ロンジンに代表される時計や精密機械、世界有数の製薬会社、質の高いチーズやチョコレート、
銀行や保険業、とりわけ世界一信用の高いスイスフランが象徴するように、スイスはヨーロッパ一(いち)の豊かな国に生まれ変わった。そんなお金持ちのスイス人にとって、むしろ山羊のミルクは傭兵といっしょに忘れてしまいたい過去の苦い思い出でもある。

とにかく動物を大事にする

p159
スイス人はとにかく動物を大事にする国民性だ。
犬を飼うにも、「飼い主養成講座」を受講する必要がある。
また、犬を繋ぎっぱなしにしてストレスを与えないよう、一日最低5時間は自由に動きまわれるようにしてやることも義務付けられている。

・牛 牛舎に押し込めておくことは禁止。年間90日は戸外で放牧する
・鶏 ケージ飼い禁止。地面の上を歩き回れる「平飼い」か、毎日一定の時間外で遊ばせてやる「放し飼い」のどちらかにしなければならない
・豚 暑さに弱いのでシャワー設備を設ける。
・セキセイインコ、カナリヤ、ハムスター、うさぎ 寂しくないように最低2匹以上で飼わなければならない。
・魚 キャッチアンドリリースは魚を傷つけたり、魚に恐怖を与えるので禁止。食用に釣った魚は、釣り上げた直後に頭を一打して、苦しみが長引かないようにしてやることを推奨

この本でドイツ、オーストリア、スイスの特徴を知ってよかったこと

  • ドイツは日本人にも近い真面目な国民性で、第二次世界大戦後は朝鮮のように国を東西まっぷたつに分けられる目にもあった。不安症でありながらも素晴らしい発展を遂げた強い国民性だと分かった
  • オーストリアはハプスブルク帝国の首都ウイーンを持ち、ドイツ人、イタリア人、スイス人、チェコ人、ハンガリー人、旧ユーゴスラビア人などの気質がミックスされていると分かった
  • スイス人はむかし傭兵として他国に出稼ぎし質素に暮らしていた苦労人なので、信頼があり銀行家向き。今では金融大国であると分かった

よろしければ読んでみてください!

【本】ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質<4>ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルへ続きます

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