【本>小説】漁港の肉子ちゃん 西加奈子  今年明石家さんまプロデュースで映画化!

インパクトのあるタイトルと表紙絵だけど、大半は小学生娘と母の日常が書かれている本、「漁港の肉子ちゃん」のお話です。

強く印象に残るストーリーに加えてあとがきで奇跡のエピソードが明かされる非常に深い作品です。

今年アニメ映画化をされるので注目が集まっています。

↓西加奈子さんのシンプルなホームページ。ご本人のブログ(diary)が見られます。さすがのおもしろさ。

(公式)西加奈子 : Nishi Kanako official website

こんな人におすすめ
  • 家族の話が好き
  • 小学生の繊細な気持ちに戻ってみたい
  • 小説にも笑いは必要だ
  • 関西弁のおばちゃんが好き

1つでも当てはまっていればOKです!


肉子ちゃんと漁港を娘キクりんの視点で見るストーリー・舞台は北陸?方言は新潟?宮城県石巻市、女川市

〈あらすじ〉

とある漁港の小さな焼き肉屋で肉子ちゃんと呼ばれる女性が働いていました。
娘の喜久子(キクりん)は諸々の事情により肉子ちゃんと二人、縁もゆかりもない港町にやってきて、焼き肉屋に住み込みで置いてもらっています。

〈登場人物〉

  • 肉子ちゃん とても太って顔立ちは良くないが底抜けに明るい女性
  • 喜久子(キクりん) 肉子ちゃんの娘で小学5年生。母親とは正反対の読書好きでクールな美少女
  • サッサン 漁港で焼き肉屋を営み、母娘を住み込ませめんどうを見ているおじ(い)さん
正直で明るい肉子ちゃんは度々だまされたりひどい目にあうにも関わらず、怒ったり不幸を嘆いたりすることがありません。
人との距離感など気にすることなく大阪弁で心に入り込み、いつの間にかみんなに好かれて応援されているような人物です。
この生き方は人間関係で損をするのか、得をするのか、もしかして最強なのか?パワフルでまぶしい肉子ちゃんを見て、考えさせられます。

〈舞台〉

小説内で場所は”北陸の港”とあり、方言も新潟の物に近いようですが、宮城県石巻市など複数の土地とフィクションが入った架空の港だとのこと。
漁港にある小さな焼き肉屋というモチーフは宮城県女川市にあった焼肉屋を外から見て西さんが構想を膨らませたとのことで、小説が書きあげられてほどなくして東日本大震災が起こったそうです。
あとがきのエピソードで悲しくも感動する内容が書かれています。

キクりんが成長を加速させるポイント※ネタバレ注意

このお話では肉子ちゃんのキャラクターもさることながら、娘のキクりんが学校の友達や街の大人たちとのかかわりの中で成長していく姿も、見ものです。

  • あこがれのマキさんとお互い住んでいたことのある東京について話そうと思ったら、東京を悪く言うばかりで、マキさんって意外と子供っぽいんだなと思ってしまった
  • サッサンと港に投げた強いネズミが泳いで帰ってこられる話をして共感するも、いつも港にいる三つ子の老人(幽霊)については知らないと言われ、サッサンは何でも知っていると思っていたのになとがっかりしてしまった

どちらも目立つシーンではないですが、キクりんの成長が加速し、好きな大人を神格視しすぎていた世界から変わっていくポイントだと感じました。

でも終盤でサッサンはやはりキクりんに必要で、圧倒的な大人なのだとわかるシーンがあります。

また肉子ちゃんとキクりんの本当の関係を知る部分は、今までの少し怖がりなキクりんと違って、すごく堂々としているように感じます。

変な男子二宮とキクりん※ネタバレ注意

キクりんの同級生の二宮も作中で非常に存在感があります。学校ではいつも桜井と松本の後ろについている目立たない男子です(3人の苗字!西さんのユーモア爆発)。

でも二宮はある変わった特徴があり、キクりんは興味をひかれて、学校の外で2人で話すようになります。
キクりんは学校の女子の間で起こるいざこざなどを、鈍感な肉子ちゃんに相談しても意味がないと一人で葛藤を抱えますが、意外にもこの二宮が解決の糸口を作ります。

終盤でキクりんは二宮から「お前だって独り言が多くて変!」と言われてしまいます。

賢くて美少女だという本人の自意識のままにキクりん像を受け取っていた読者(私)はおどろきました。実は文中に書かれている”キクりんの頭の中で聞こえる声”が、独り言として外に漏れていたのなら結構な量なのです。みんなも気付いていたのか、はたまた、場所を選んで独り言を言っていたから気づかれていなかったか。

もしかしたらキクりんの目線で見るよりももっと、包容力があって大人がしっかりしている素晴らしい街なのかもしれません。

明石家さんまプロデュースで映画化!?マリアちゃん役オーディション

今年2021年6月に明石家さんまさんプロデュースでアニメ映画化されるそうです。

明石家さんまとアニメ

さんまさんは意外とアニメに詳しく、「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」(Wikipedia)では、主人公ではなく友達の”つるこ”というキャラクターの良さに言及したことから、この人はよくわかっている、とアニメファンに一目置かれているそうです。

またMCを務める「ホンマでっかTV」では、”鬼滅の刃は夜のシーンが多いから、登場人物の服の色がきれいに映えて流行ったね”、と誰も知らなかったような鋭い発言をしていました。

声の役者は元妻のあの人!有名人二世、鬼滅声優も!

〈声優陣〉

  • 肉子ちゃん 大竹しのぶ ・・って、元夫婦!
  • キクりん cocomi(キムタク・静香の長女)
  • 二宮 花江夏樹(鬼滅の刃主役)

マリアちゃん役の声優さんは一般オーディションだそうです。

とても豪華で話題性のある作品になりそうです。
原作ファンとしては、映画を見たらどうしても何らか思うところが出てくるかもしれませんが、そういう思いはなるべくひっこめたい。
多くの人にこのストーリーが届き、さらに映画から原作を読んで今まで西加奈子さんを知らなかった人にも作品が伝わっていくかと思うと今からワクワクします。さんまさんがんばって。

(公式)劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』

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漁港の肉子ちゃん を知ってよかったこと

  • 小学生女子の気持ちを思い出せた
  • 超明るい肉子ちゃんに笑わされたり泣かされたりで楽しかった
  • さんまさんが映画にしてくれて、二度楽しめた

よろしければ試してみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 



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