【本>小説】西加奈子 きりこについて

人物の描写がめちゃくちゃ面白い西加奈子さんの小説。

猫の表紙がかわいい「きりこについて」のお話です。

自分は最高に可愛い、と思っていた主人公・きりこ

衝撃の書き出し。この本の一行目はぜひ本を手に取って目にしてもらいたいです!「漁港の肉子ちゃん」もそうだけど、”人って、なんだかんだ容姿に左右されてるよ”と西さんは表現したいのかもなと思いました。

”パァパ”と”マァマ”はどうしていつまでもきりこの容姿がマズイことに気づかないのだろう。きりこはひとりっ子で他の家族・親族は登場しないのですが、祖父母とか、二人と違う意見を持った人はいなかったのか?いや、いても言わなかったかもしれないし、パァパとマァマは何と言われたって聞かない人なのかもしれない。

多感な時期に急に気付かされるなんて、残酷で無神経な両親だなと途中までは思いました。でもきりこは立ち上がりました。幼いころにつちかった自信とリーダーシップがあったのです。それを見て両親の育て方は良かったんだと感じました。(0歳のひとり娘がいる私、なんかすごく育児の参考になりました)

登場人物に無駄がない

そことそこが仲良くなるか?その人が事件のきっかけになるか?まさかの展開で登場人物の配置に無駄がありません。

 

登場人物

きりこ 自己肯定感MAXの少女。容姿が良くない。

すずこ かわいくておとなしい

ノエミ ハーフ

みさ おばちゃんぽい。漫画の才能がある

さえ おばちゃんぽい。まじめ。

こうた君 モテる。足が速い、ちょっとワルぶってる

元田さん 団地内で宗教活動する主婦

ちせちゃん きりこ達より年上の団地の子。可愛くて性に奔放。

ラムセス2世 きりこが拾った黒猫でめちゃかしこい(自称)

ちゃんとみんなの行方を書き切ってくれているのが好きです。西さんはそこがいい!ほかの小説だと残りページが減ってくると、この件はぼやかしたままで終わるのか?と心配になってきて、実際そうやって終わってしまうことも多いです。そうするともやもやした読後感になるのですが、それとちがって西さんのお話はスッキリします。西さんの全作品は知らないけれど「サラバ」「アイ」「漁港の肉子ちゃん」はそうです。

 


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