【本】【阪神間>西宮甲子園】『佐藤愛子の役に立たない人生相談』は役に立つ。『九十歳。何がめでたい』の著者が住んだ鳴尾村

大正12年生まれ、歯に衣着せぬ発言が爽快な、佐藤愛子さんの本『佐藤愛子の役に立たない人生相談』のお話です。

佐藤愛子さんは大正12年生まれの作家「九十歳。何がめでたい」

佐藤愛子さんの本との出会いは2017年の暮れ、書店で平積みされていた「九十歳。何がめでたい」を手に取ったことです。
同居していた祖母がちょうど90歳でなくなったことがきっかけでした。
大往生とはいえ、明るい祖母の突然の旅立ちに覚悟ができていなかったので、家じゅうが暗い雰囲気になってしまいました。
家族でもっとできることはなかったかとうろたえていた時に、強気だった祖母のように”しっかりせんかい”と鼓舞してくれたのがこの本でした。
いかにもかわいらしくてやさしいおばあちゃん・・・ではなく、豪快さや毒舌も持ち合わせたうちの祖母と、とても似ていると感じました。関西の街育ちのおばあちゃんって皆こんな感じなのかもしれません。

新刊は、2019年には、「気がつけば、終着駅」、2020年には「何がおかしい.新装版」が出ています。

2021年現在97歳でいらっしゃいます。

読書メモ(3点ピックアップ)

読者の質問に対する25の回答の中から3点ピックアップしました。

必ずどこからか「カワイイ」 

” 女子の盛り上がりに興味が持てないのは変?(二十六歳女性・会社員・独身)”より

テレビで犬コロや猫の仔などが出てくると、必ずどこからか「カワイイ」という若い女タレントの声が放たれる。すると私は、何とも言えないイヤアな気持ちになるのです。中には本当に「かわいいねえ」と思う映像が流れることがあるけれど、小さなものが出てくると、猫も杓子も「カワイイ」と黄色い声で叫ぶのは、ここで一パツ感激してみせなければという使命感にかられて叫んでいるような気がして白々しく、「アホの一点ばり」とはこのことだ、といいたくなってしまう

何でも”かわいい”という人のこと、子どものころは私も遠巻きに見ているはずだった。いつの間にか、”動物を見ると癒される””かわいいとされているものはかわいい”というメジャーな反応に順応していることに気づいた。順応してるからと言って問題はない(むしろ多数派で生きやすい)が、自分も昔とは変わったんだなあとしみじみ思う。
そう思わない相談者さんと佐藤愛子さんは、正直で女らしくない人らしい。

可能性に賭けることが出来るか

”娘の「本気」をどうすれば勉強にも向けられますか(四十五歳女性・会社員・既婚)”より

人生を決めるのは可能性に賭けることが出来るかどうかにかかっています。可能性はいつとはいえないがいつか、自然な形で見えてくるもので、それをはぐくみ育て、伸ばして行く。それが人生の面白さです。塾やテストの点にこだわっていては見つからないものです。

とても納得できた。行動力とか決断力とか、よりよい人生にしていくためには必要だと思うが、この言葉が一番簡潔にまとめられていると思った。可能性に賭けることができなければ何も進まない。うじうじと悩み、行動力をにぶらせ、決断力に蓋をしている状態だ。

 

女が一人で生き抜くということは

”これが「老いらくの恋」なのでしょうか(七十五歳男性・無職・独身)”より

女が一人で生き抜くということは、他人にはわからない苦労を越えてきている。苦労に磨かれて他人との接し方、気遣い、優しい笑顔、話の相槌のうち方等々を身につけています。そこが苦労なしの若い女とは違う

佐藤愛子さんは離婚経験2回あり、娘さんを一人で育てたそうです。これがうちの祖母ととても似ていて、マザコンでたよりなかった祖父と離婚はしなかったものの長期別居し、娘(私の母)を一人で育てました。私たち家族・親戚・近所の人などへの愛嬌や声かけ、とりわけ”言わなくても気づく力”はピカイチでした。本人は気づきが過ぎてしんどそうでしたが。

タイトルは謙遜。「役に立つ」に変えたほうがいい

引用でもわかるように、佐藤愛子さんの文体はかなりざっくばらんで毒舌です。ただ、バッサリと短い言葉でぶった切ることは決してせず、質問文の3~5倍のボリュームでとても親切にお悩みに回答されているのです。
悩みの相談って実は解決したいんじゃなくて誰かに聞いてほしいだけ、ということがよくありますよね。
質問文の数倍の回答をしてくれる佐藤愛子さんは、質問文をよーく読んで、時にはご自分の経験も交えながら、結論を導いているということです。
相談を聞く人としてすごく達者だと思うし、そもそも相談を聞くことが好きなのではと感じました。
なので「役に立たない人生相談」というタイトルは全くの謙遜で「役に立つ」に変えたほうがいいと思います。笑

 

佐藤愛子さんの生い立ち 鳴尾村、甲子園

大阪で生まれ、兵庫県鳴尾村(現・西宮市)で育ったそうで、阪神間にゆかりのある人です。

「阪神間」とは大阪と神戸の間の地域にある6市1町です。引っ越してくるまで知らなかった私はこの呼び方をもっと広めるべきだと思いました。離れた県の知人にはどこに住んでいるかとの説明に兵庫県としか言えないからです。夫さん始めこのエリア出身の人たちがこの呼び名を使いたいのかどうかはわからないのですが・・

鳴尾村は、甲子園球場の東側の一帯にありました。現在ららぽーと甲子園(旧阪神パーク)や武庫川女子大学などがあります。以前甲子園球場の資料館を訪れた時に、戦前はこの地域に広く遊戯施設があったことを知りました。甲子園球場に加え、競馬場、飛行場、動物園、遊園地、水族館、入浴施設等々のある一大リゾートエリア(外部記事|白水社 甲子園エリア絵地図)だったようです。地名は内陸から、上甲子園、甲子園一番町、ニ番町、・・九番町、浜甲子園と配置されており、南北に甲子園線という路面電車(外部記事|路面電車のアルバム 阪神電鉄甲子園線)も通っていた一等住宅地だったことがうかがえます。

今ならJR甲子園口駅などは甲子園球場からはるか北にあり、最寄りの阪神電車甲子園駅と間違えたりすると悲惨です。紛らわしい駅名だと感じていたのですが、かつては広大な甲子園リゾートエリアの入り口だったんだとわかり感動しました。

そんな土地で佐藤愛子さんは戦前の娘さん時代を過ごしたということですね。都会っ子だと思います。

「人生は美しいことだけ憶えていればいい」「ガムシャラ人間の心得」も読みました。タイトルだけで元気が出ます。


感覚が合うと思っていただけた方は、読書&映画まとめにも掘り出し物があるかも。




 







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