【本】人生が劇的に変わるスロー思考入門 香山リカ 仕事・勉強・人生訓・人間関係についてゆっくり構える

近くに置いておいて度々読み返したくなる本、「人生が劇的に変わるスロー思考入門」のお話です。

著者は精神科医、大学教授の香山リカさん。肩の力の抜ける言葉と、わかりやすくかわいい挿し絵(4コマ)がいい雰囲気を出しています。

仕事・勉強

  • 「正業不安」 自分のメインの仕事に向き合わず、別の分野がよくできる。だからと言って、その分野をメインに乗り換えるとまたダメになる。
  • 教育学に熱心で努力家な先生が、子どもを肉親のようには愛せないと悩んでやってきた。何の問題もない。作り笑顔で最新の教育を実践、それこそがプロ。真剣にとか、人間力を上げるとか、そんなことできなくたって、大人になったら働いて生活していかなきゃならないから、就活で悩みすぎている学生にはどこでもいいから働いてみろと言いたい。
  • オリジナリティにこだわらない。肩の力を抜くとすでに自分の中に用意されていた自分にしかできない発想やアイデアがポロリと出てくる。といっても出てこなくたって心配しない。人間の考えることはすでに世界のどこかで誰かが考えたり実践しているのではないか。ちょっと思いついて「オリジナルです」と自負したり吹聴する人より「私は独創性がいまいちで」という人のほうが冷静だし、実際に少しでもオリジナリティのある考えができる可能性は高い。
  • 読者にとって「勉強法」は常に読みたいテーマらしい。ただ、本当にきちんとした仕事をしてる人はこだわってないように思う。「やりたいからしただけ」というほうが身につく。勉強法を読んでもその気にならないのは、今勉強したいことがないから。本当に身につけたいことがあったら勉強法などそっちのけでやるはず。また、どうしてもやらなければならないことは無理やり覚えることになる。売れる勉強法本は説得力があるから満足してしまう。なのでなるべく読まない方がいい。「素晴らしい勉強法を読んで勉強しない」より、「勉強法を読まず、独自のやり方で勉強する」が明らかにプラス。
  • 細切れ休みでリフレッシュ。そのために仕込む瞬間もリフレッシュ。たとえば、隙間時間に食べるチョコをコンビニで選ぶ時間。
  • がんばっても思った結果が出ない時、多くの人はもっとがんばろうとするが、まちがい。成果が出ないと言うのはからだと心がもう限界を超えていますよというサイン。「やりすぎたんだな」と今やっていることを全面的にやめ、重荷をへらし、休んだりのんびりするべき。頑張りがたりないからだと、さらに自分を𠮟咤激励して残業や休日出勤すると、からだと心は「えーがんばりすぎって言ったじゃないの」と不満に思いながら、仕方ないので命じられたとおりに働く。そこで一気にうつ病やストレス性の心身症が発症してしまう。本当は「あれ、おかしいぞ。いつものように仕事に気乗りがしない」と気づいた時点で早めに無理をやめてリフレッシュしたり休んでエネルギーを貯める時間を取れば、数日程度で回復できる。
  • 「職業」というだけでも型にはめられて大変なのに「天職」などと考えるともっとしんどい。

人生訓・生活態度

  • よほど直観の優れた人、心のコンディションが万全の人以外には、人生の府大事な場面での即断即決はすすめない。優柔不断のほうが後悔は少ない。「今日やる!」と決めても、まあまあ~と延ばしていく。
  • パジャマのままダラダラ休日を過ごしてしまったら、「ラッキー、今日は心とからだにとって最高の休日をすごせたぞ」と思いましょう。エネルギーもお金も必要最低限。これが日ごろの疲れをいやし、明日へのエネルギーを回復してくれる。
  • 過去の栄光に囚われず常に自分に厳しく、さらに高い目標を掲げて進むことこそ前向き思考だと誤解をしている人も多い。本当は良い過去には大いにとらわれ、繰り返し思い返して自分をほめたり良い気分になってよい。たとえそれが今は全く自分の役に立っていないとしても。そのときの頑張りや、成績や、周りからの評価は自分の中で今も生きている。そう思って自信を高め、良い気分に浸るのが本当のプラス思考。
  • 後悔があるほど人生は味わい深い。逆に思いがかなって周りからもすごいですねなどと褒められると、どうにも自分らしくない気がして居心地も悪く落ち着かない。何もカモ思い通りに行った人はおそらく、悔んだり妬んだりしながら生きている人の気持ちも理解できず、周囲から孤立してしまうでしょう。人間は強さではなく、弱点や欠点をよりどころにして集まる傾向があるから。往年の女流作家たちは幸せいっぱいの人生を歩んだわけではないが、だからこそ多くの読者たちに共感され続けている。
  • 精神科医としての経験「人間の健康にもっともよくないのはストレス」。健康のため、毎日運動、三食栄養を考え・・がストレスになる人もいる。逆に毎日20km走らないとストレスになると言う人もいる。それぞれでよい。
  • 酒やギャンブルと上手に付き合う。とくにギャンブルは、そこで当てよう、もうけようとしないこと。勝つことが自分の価値の確認になると人はいっぺんにのめり込む。自分の価値はメインの仕事や家庭にあるのだ。
  • 体力低下は成熟の証。30代後半までは体力や美貌を自慢する傾向があるが、40、50代はそうではなくなる。「自分の人生、もうだいたいは大丈夫」という自信が出来上がってくるから。「体力や若さだけでウケているわけではない」。20、30代は少し体力低下の兆しが見えてくると焦る。ただそれと引き換えに経験、精神力、人格などがパワーアップしているはず。例えば30代は新しい人に会うのが億劫で家で仕事をしていたいと思ったが、40代でそんなに仕事にエネルギーがそそげなくなると、いろんな会合やパーティに出てみようかと社交性が出てきた。
  • 人生がバラ色の人たちだっていつかは、「ああ、こんなに成功するんじゃなかった。維持できない」となげくかも。一瞬の気分だけで人生の勝ち負けは決まらない。
  • 最近はモテないというと人間性や生活力に問題ありな人と見られる。昔は仕事一筋とか独身貴族とか言ってあるていど認められていた。いくら仕事ができても独身というので肩身が狭い思いをしている人もいる。しかし、豊かで個性的な発想力が湧いてくるのは独り身の時だ。「恋人ができた途端、馬券がまったく当たらなくなった」というようなことは幸福により微妙な直観が鈍ってしまったのだ。モテないからこそできる、分かることがある。たくさん仕事し、芸術を味わい、大きな賭けもしてみよう。

人間関係・コミュニケーション

  • カラオケができれば会話はできる。日常会話にオリジナル要素はいらないのだ。話の流れに沿わないとんでもエピソードを入れるとかえってしらけてしまう。どこかで聞いた言葉がちょうどいい。
  • 謙虚なのは悪いことではないが、時には自分を棚に上げて言いたいことを言う。自分の欠点や短所をいちいち繊細に感じ取っていては自己主張もプレゼンもできない。「私には堂々と意見を言う権利があるんだ」と自分に言い聞かせ、意見やクレームをはっきり口にしたほうがよいことも少なくない。
  • 気の合う上司に当たって意気投合しても、どうしたって業務上の指摘をされることはあるのでかえって凹みやすい。気の合わない上司のほうが、自分の感情をおさえて相手が求める仕事ができやすい。上司の思考を想像するのは時間のムダ。自分もビジネスマシーンになってこなすのみ。マシーンに徹すると、仕事に集中できてラッキーだと思おう。(これはなかなかむずかしい)
  • 威勢の部下や同僚には、アメリカドラマのように演技して接せよ。
  • 若い人との付き合い方が分からないと言う人は、自分が年を取ることや時代についていけないことが怖いだけ。最新の情報を知らなくても自分のほうが知識は多いのだから堂々としていればよい。そうすれば焦らずに教えてもらうこともできる。
  • 夫婦の最高点は100点ではなく82点くらい。50点でもまあ可。
  • 人間関係の悩みで一番多いのは「親」。なるべく距離を置き、「自分は大人だからガマン」とやり過ごす。同居とか介護している場合は、これはサービス業と思って割り切って接する。親を放置してかえりみない人というのは、よく聞くと実は親に心理的に依存している。弱った親、老いた親を見たくない。
  • 親友にはすべてを話さない。全部知っていれば、何かあったという時、感情的な意見をぶつけて友情にひびがはいってしまう。例えば親友よりその配偶者の肩を持ってしまうなど。長続きさせるには軽い感じと中立なスタンスで。全部打ち明けたいならカウンセラーや占い師へ。
  • 趣味は人に話してすごいと言われるためにするものではない。言うほどのことではない、こっそりマイしゅみがあればいい。言わなければいけない時は無難なものか、探し中、で。
  • 40代後半で同窓会が増える。人生ならせば勝ち負けもないとわかるから。途中途中では山あり谷ありで差が付いたように見えるけどそのうちわだかまりや嫉妬もなくなってくる。

 


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